「ウソの恋人とは……」

「例えばこうやって……」

手をぎゅっと握られて体が強ばった。

「こうやって握られても怖くないように、慣れていくお付き合いって感じ」

「怖くないように……」

私が男の子と触れること、話すことを出来るように。

話したりしてみんなと関われるようにする為に、私のお手伝いをしてくれるということ?

「あくまでもお手伝いとして、俺と付き合って欲しい」

高崎くんとお付き合いをして、色んな人と関わりを持てるようになるのなら。

この判断は間違って無いはずだ。

「ウソの恋人だけど……よ、よろしくお願いします」

こうして私は初めての彼氏が出来ました。

……このお付き合いはウソだけど。