そんな時、スクールバッグに入れていたスマホが振動したから取り出した。



「っ!!」



通知に表示されていたのは『芹くん』の3文字。



その文字を見ただけで、勝手に胸がきゅっとなる。



お、落ち着いて私…。



別に、昨日連絡先を交換したから普通のこと。



たったこれだけのことで嬉しくなったりするのはおかしいよ。



一旦自分を落ち着かせて、メッセージの内容に目を通した。



『おはよう結羽。急に予定が入って、今日は会えそうにない。本当にごめんね』



「………」



…まぁ、そんなもんだよね。



物事っていうのはいつだって上手くいくわけじゃない。



それは自分がよくわかってるはず。



そんな当たり前のことを忘れるくらい、最近の私は浮かれているらしい。



『ぜんぜん大丈夫だよ。私のことは気にしないで』



素早くメッセージを打ち込んで、もう一度バッグの中にスマホをしまった。



…大丈夫。



嫌われてるとかじゃないっぽいし、また会えるんだから落ち込む必要なんてないでしょ?



そうやって自分に言い聞かせてから、学校へと足を動かした。