なんで芹くんが、そんなに苦しそうな顔をするの…?



「俺だって詮索されるのは嫌いなはずなのに…なんでだろうね。結羽のことを知りたくなっちゃったんだ」



何か言いたいのに、なぜか喉に引っかかって声が出ない。



「結羽が泣いてたらなんで泣いてるのか知りたいし、もう二度と悲しませたくないって思う。結羽の喜ぶ顔が見たいって思うから、なんでもしてあげたくなる。誰かに対してそんなことを思うなんて、今まで無かったのに」



芹くんが話している間に、色んな感情が胸に込み上げてくる。



それでも思ったように声が出せなくて。



「…また、明日も会ってくれる?」



「…っうん。私も、芹くんに会いたいっ…」



絞り出すように声を上げた。



芹くんの綺麗な顔が、ゆっくり近づく。



互いの視線が絡まって、痺れるような感覚の後に芹くんの唇が落とされた。



触れる程度の軽いキス。



このまま時が止まればいいと思ったのは、芹くんにはナイショ。