?「貴女は…誰ですか」
そう、問いかけられる。
『私、は…雪乃…です。』
自分の名字は、嫌いな親の顔を思い出すからあえて言わなかった。
総司「私は、沖田 総司です。」
沖田総司って…あの、墓の…。嘘…。
何かの間違いだと思いたい。でもこの人が嘘をついているようにも思えない。
総司「ゆ、雪乃…さん」
儚く、触れてしまえば消えそうなほど頼りなさそう。
それが第一印象の…沖田さん。
腰には恐らく本物であろう刀らしきもの。
信じたくない…信じたくないが。
もしかしたら、幕末に来てしまったのではないのだろうか。
だったら、墓がないのも頷ける。
もしこの人が、本当にあの沖田総司ならば、この近くには新撰組の屯所があるはずだ。
突然、風が強く吹いて 私達の間を通り過ぎた。
私の長ったらしい髪の毛を弄ぶ。
沖田さんの髪の毛も、ふわふわと揺れて 顔を撫でた。
木々に目を向けていると、ザッザッ と、沖田さんが私に近づいてくる足音がする。 でもその音は洗練されている。
私の目の前で止まったかと思うと、頭に手を伸ばしてきた。
総司「…これ、ついてました」
『あっ…』
その手には、青々とした葉っぱがある。 風に乗せられて、ついてしまったのかもしれない。
『ありがとう、ございます…』
恥ずかしい…。 沖田さんに触れられた、頭の辺りを抑える。
総司「……あ、待って」
一歩下がろうとした私の手を掴んできた。

