新 撰 組 終 末 記





歳三「オイてめぇら! 何こそこそしてやがる!」



 スパンっと、総司の部屋の襖が開かれ、土方さんの鬼の形相が見えた。



総司「うるさいですねぇ…土方さんったら」



歳三「チッ、早く来い雪景。 芹沢さんたちに挨拶行くぞ」



『…げぇ…っ』



 思わず嫌そうな顔をしてしまうと、こつん と土方さんに小突かれる。



歳三「んなこと言ったって、いずれかバレんだ。 ちっと挨拶しに行くだけだし大丈夫だ」



 芹沢とか、新見とか…凶暴な奴らばかりなんだもの。



 重い腰をようやく上げて、土方さんについて行く。



歳三「…というか、なんでてめぇも付いてきてんだ」



 私の後ろについて来る、総司に対して言っている。



総司「別にいいじゃないですかぁ。 減るものではないですし」



 両手を頭を後ろで組みながら、そう言っている。



 廊下を歩き、玄関で総司に頂いた草履を履いた。



 壬生菜畑を横目に、八木邸へと足を踏み入れる。



 庭の方に向かうと、芹沢一派が縁側で寛いでいた。



歳三「…芹沢さん、ちょっといいか」



鴨「…これはこれは、土方くんじゃあないか。 態々ウチにどうしたのかな」



 機嫌が良いのか、徳利から猪口に酒を移すこともなく、そのまま煽った。



歳三「こちらの男は、今度新しく副長助勤となる浅葱 雪景です。 芹沢さんたちにも、ご紹介致したく参った次第です」



 なんとなく、土方さんの固い口調に 自然と私も緊張していると、



 ポンッと、背中を押されて、前に出される。



 同時に複数の鋭い視線が肌を突き刺した。



『…浅葱 雪景と申しまする。 この度、壬生浪士組に入隊し、副長助勤を勤めさせて頂きます。 よろしくお願い致しまする』



 ぺこりと、お辞儀をした。



鴨「…フンッ…どうだ、一杯」



 先程、芹沢さんが直接口につけていた徳利をずいっと出される。



 ……え、衛生観念的に嫌だなぁ…。



『…わ、私はあまり嗜む口ではなくて…遠慮致します』



?「…芹沢さんの誘いを断ろうなど、無礼であろうが…!!」



 縁側の床を叩き、立ち上がる一人の男。



歳三「新見さん、落ち着いてくれ。 浅葱はまだ入隊したばかりです。 しっかり言っておきますから」



 やはり、芹沢さんの腰巾着の新見 錦かぁ…。



錦「だがな___」



鴨「よいよい新見。 ワシは今 機嫌が良いからなぁ。」



 ばっ…と、鉄扇を開いて、パタパタと扇ぎながら、火照った顔を冷ましている。



鴨「…浅葱、と申したか。 こちらへ来い。 他の男共を紹介してやろう」



『…はい』



 土方さんと沖田さんは、その場で待機したまま 私だけ芹沢さんたちの方に向かう。



鴨「…ほれ、此奴は新見 錦じゃ。 副長をしておる」



 ドンッと、新見さんの背中を叩いている。



錦「…フンッ…」



 こちらに睨みを利かしてきた。



五郎「…俺は平山 五郎だ。 お前と同じ、副長助勤だ。 よろしくな」



『…平山さん、よろしくお願いします』



五郎「そんな硬くなるな。 五郎と呼んでくれて構わない。 …雪景と呼んでもいいか」



 平山さんは左目が黒い眼帯で隠されている、いわば独眼竜だ。



 縁側に座りながら腕を組んでいて、しかし芹沢派の中では話しやすい方だろう。



 兄貴肌というか…面倒見が良さそうな雰囲気が出ていた。



『ええ、大丈夫です。 …五郎さん』