総司「…よし、呉服屋さんに注文しましたし、刀も手に入れちゃいましたから帰りましょっか」
『そうですね』
軽く、屯所を出てから一時間くらい経っているんじゃないかなぁ…。
貰った刀と脇差しを腰に差すと、かちゃかちゃ とぶつかり合う音がした。
来た道を、沖田さんと共に戻る。
四条通りを通る人々は、少し増えてきて 店にも活気が溢れていた。
『わぁ…』
いかにも田舎侍感を丸出しで、きょろきょろと辺りを見回す。
『…あっ、筆…』
見回していると、筆や硯などが売ってある店に目を奪われた。
総司「ふふっ、気になります?」
『あっ…いえ…遅いと土方さんに怒られるちゃうので、帰りましょ!』
帰り道なんて分からないのに、少し足早になって先導してしまう。
総司「そうですね」
屯所に帰ると、門前に土方さんがいた。
歳三「…遅ぇよ」
総司「せっかちですね〜。 あ、土方さん聞いてください! 雪乃さんったら凄いんですよ。 目利きして、村正を譲ってもらったんです」
歳三「……村正ァ?」
総司「あっ…」
ま、また沖田さんっ…!!
歳三「…他の奴らには言うんじゃねぇぞ」
……あれ、怒られなかった…。
歳三「…何呆けた顔してんだ。 俺に惚れたか」
『…馬鹿じゃないですか?』
歳三「あぁ゛ん?」
おお…怖い怖い。
綺麗なご尊顔を、目一杯に歪めている。
総司「土方さんったら、素直じゃ無いですよねぇ。 雪乃さんの給金から、差し引く気なんて更々ないのに」
『…え? じょ、冗談だったんですか…?』
給金から着物と、刀のお代を引くって言ってたやつ…。
歳三「ばっ…減らず口が!! てめぇは黙ってろ!!」
土方さんは、大きな掌で沖田さんの口許を塞いでしまった。
…その反応からして、本当に差し引く気はなかったらしい。
『…ありがとうございます』
歳三「…気味悪ぃな」
『二度と言わねぇ…』
げぇ…とした顔をする土方さんを見て、決心した。
土方さんにだけは絶対言わない…。
歳三「…やっぱ袴は長さ合わねぇよな。 昨日借りんの忘れてたけど、さっき藤堂に借りてきたから着替えろ。 朝餉食べたら道場に行くぞ」
ぽすっと、渡された藤堂の袴。
『了解です』

