それがこの場に居合わせた人間の共通認識だった。彼を敵に回すことは死を意味するといっても過言ではない。誰もが口を噤む中、ふとイグナーツが今思い出したように、そうそう、と言葉を付け足した。
「言い忘れていました。魔界への強制送還は、婚約者の同行も許可されています。そういうわけで、ヨハニス殿下。結婚式の準備も手配しておきましたから。罪を償ったあとは、魔界での新婚生活をどうぞ満喫なさってください」
「ま……待ってくれ! 俺は魔界などには……!!」
「勘違いしないでいただきたいのですが、これは王命です。あなたに拒否権など最初から存在しません。国王陛下は、もしヨハニス殿下が悪魔であるヘレンを選んだ際には罰とし、人間界から追放せよとのお達しです。……これで本当にお別れです」
イグナーツが深刻な顔で瞼を伏せる。
「言い忘れていました。魔界への強制送還は、婚約者の同行も許可されています。そういうわけで、ヨハニス殿下。結婚式の準備も手配しておきましたから。罪を償ったあとは、魔界での新婚生活をどうぞ満喫なさってください」
「ま……待ってくれ! 俺は魔界などには……!!」
「勘違いしないでいただきたいのですが、これは王命です。あなたに拒否権など最初から存在しません。国王陛下は、もしヨハニス殿下が悪魔であるヘレンを選んだ際には罰とし、人間界から追放せよとのお達しです。……これで本当にお別れです」
イグナーツが深刻な顔で瞼を伏せる。



