冤罪から死に戻った悪女は魔法伯の花嫁に望まれる

 子爵令嬢として人間界に溶け込み、邪魔なルーリエを始末しようとした。未来の王妃の座を狙っていた理由は考えるまでもない。ヨハニスを傀儡の王にして、自分は王妃として好き勝手するためだ。
 誰であろうと、魔法で人の心をもてあそぶ真似は許されることではない。
 絶対、この女はここで叩かねば。
 もしここで見逃してしまったら、また誰かが傷つく。悲しい思いをするのはルーリエだけでいい。

「……一度目はあなたの本性を見抜けなかった。しかし、二度目はありません。今すぐヨハニス殿下とともに魔界へ帰っていただきます。この国は渡しません」
「はぁ!? あんたみたいな魔力なしに、このアタシがやられるわけないじゃない」
「確かに、わたくしには悪魔を強制送還する力はありません。所詮、魔力のない伯爵令嬢はただの小娘に過ぎませんから」