そして、私はそのままの足でバスに乗った。

数分バスに揺られて、降りたバス停から更に歩くこと15分ほど。

私は、お兄ちゃんの実家へと足を向けていた。


「おじさーん、お兄ちゃんのところ行くねー!?」

「おーー!鈴!今年もありがとうなー!?」


大きな日本家屋の広い庭にある畑で何かを収穫している男性に向かって声を掛けると、勢いよく立ち上がってぶんぶんと手を振られた。


入院中、外出が許されるようになってから毎年、お兄ちゃんの命日には実家に立つお兄ちゃんのお墓にお参りに来させてもらっている。


もうすっかり顔なじみのお兄ちゃんのお父さんに大きく手を振り返して、家には向かわないで少し坂を上る。


家のすぐ裏にある小さな丘の上に、お兄ちゃんのお墓はある。

星が好きだったお兄ちゃんだから、星に近い所にお墓を立てたんだって。

…素敵だよね。


今日は、お兄ちゃんの命日。毎年、寂しさばかりに包まれて少し苦しかった日。

でも今年は、少し明るい気持ちでここに来れていた。