「鈴ちゃん、亜由ちゃん、応援ありがとう!」


観客席でしばらく亜由と話していたら、伊藤さんが上がって来た。


「あっ、こちらこそ!お疲れさまでした。凄かったです!」

「ほんっとに、最後のシュート感動しました!」


立ち上がり、ペコリと頭を下げると、先輩は微笑む。


「勝つところ見せられてよかったよ。マネージャー考えてくれた?」


決して無理強いはしない、優しい雰囲気をまとう先輩だけど、グラウンドから感じる部員たちの視線は、かなり期待を感じる。


私は、思わず頷いてしまいそうな気持ちをぐっと押さえて、頭を下げた。


「マネージャーはできないです。ごめんなさい」


きっと、受けると思っていたんだろう。亜由は驚いた顔で私を見る。

私も緊張で震えそうな手を隠すようにギュッと握って、言葉を探した。


「そっか……」


残念そうにも聞こえる声に、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

小さく顔を上げて先輩を見ると、先輩は爽やかに笑っていた。