「…いた」


2日連続で、こんな階段を上るなんて思っていなかった。

私は、神社を訪れて、昨日のベンチへと向かっていた。


「あ、昨日の……」


振り返った男の子は、改めて見てもやっぱり美形で。

消えてしまいそうな柔らかで儚い雰囲気がお兄ちゃんにそっくりだった。


「昨日は、ごめんなさい」


私は、深々と頭を下げる。


「なにも、悪いことしてないでしょ」


ふふ、と優しく笑った彼は、ベンチに腰を下ろし、隣に座るようにトントンと叩いた。

その所作につられるように、自然と隣に腰を下ろす。


お兄ちゃんに似ているからか、不思議と感じる安心感。


いつもだったら、様子を伺いながら、話題を選ぶ私だけど、

その男の子の制服を見て、私は特に何も考えず口を動かしていた。


「高校生だよね」


同じ最寄り駅の、もう一つの高校。

学力が高い人達ばかりが通う、私立高校の制服だった。


「うん、君もだよね」

「うん。何年生?」

「1年。君は?」

「1年。同い年だ。」

「だね」


独特な間だった。

だけどそれが心地よくて、普段感じられないような余裕のある穏やかさに安心する。