「…ちょっと」

「教えてくれないんだ?まぁ、いいけど。じゃあね、川野さん」


私は二人が教室から出て行くのをジッと見送る。

そして少しすると笑みが溢れ、歩き始める。

クラスの女の子が、初めて私にちゃんと話し掛けてくれた。
今迄こんな事なかったから、凄く嬉しいんだ。


トモに万引きを見られた時は最悪だったけど、こうやって少しずつ友達が出来るかもしれない。


それから一週間が経ち、放課後になるとトモとヨシが笑顔で来ると言った。

「じゃあ、アリス行こうぜ」

「いいけど…何処?」

「まだ秘密」


二人の怪しい笑顔が怖い…。

学校を出て電車に乗ると、三人で繁華街に向かった。

すれ違う人が時々私達三人を見て、不思議そうな顔をする光景を何度も見る。

何か……やっぱり早く帰りたい。

トモもヨシも金髪だから目立つし、知り合いに見られたりしてお母さんの耳に入ったら、心配を掛けてしまう……。


「アリス、着いたよ」


ボンヤリ歩いていた私はヨシの声に顔を上げる。


「ここ…?」