籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

偶然助けた路地にいた女が、こんなところにいるのだから。


「十座さん…、この女は…」

「RISEの姫だ。まあ、“元”だがな」

「もしかして、姫狩りで…」

「ああ。意外と好みの顔だったからな。妃候補にしてやった」


十座のその言葉を聞いて、黒髪の男の人の視線がわたしの首元へ行く。

チョーカーを見つけたからだろうか、一段と驚いた顔をしている。


「どうして、俺に相談なく勝手に姫狩りを…!」

「いいじゃねぇか。お前がいない間に、RISEの姫の噂を小耳に挟んだからな」

「だからって、妃候補にする必要なんて!」

「…おいおい、なに熱くなってんだよ?お前らしくもねぇ」


ガムを噛む十座は、面倒くさそうに言い放つ。

黒髪の男の人は、どこか納得していない表情。


「だったら、世話役は俺にさせてください」