籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

「それを言うなら、お前のほうこそ鏡で自分の顔をちゃんと見てみるんだな」


十座はそう言い放つと、右手を払うようにして横へ振った。

それを合図に、金髪の女の子を取り押さえていたRULERのメンバーたちが広間の外へ女の子を連れ出す。


「…いやっ!待って…!あたしはまだここにいたい…!!」


その悲痛な叫びに耳を貸す者はいない。


「…あたしはっ!!あたしは、十座の妃になるべき女なんだか――」


その声が最後まで届くことはなく、玉座の間の扉は閉ざされた。


目の前でくり広げられた非現実的で衝撃的なシーンに言葉が出ない。


「喜べ、美鳥。お前は、妃候補に選ばれた」


呆然としていたわたしの耳に響いた声。


「えっ…。今なんて…」

「聞こえなかったのか?女ならだれもがうらやむ妃候補…、その1人にお前はなったんだ」