籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

「そうだけど…」


みんながあんなに傷だらけになって戦っているというのに、わたしだけがいつもどおりに生活していていいのだろうか。


「壮馬さんと約束したんだから、美鳥ちゃんのことはおれたちが必ず守る」


わたしを不安にさせまいと、雅人くんは笑ってみせた。

しかし、すぐにその表情が曇る。


「…でもっ」


そう言いかけて、とっさに口をつぐむ雅人くん。

雅人くんの手が震えている。


…雅人くんもこわいんだ。


「…それじゃあ、おやすみ。美鳥ちゃん」


雅人くんはわたしに背を向けると、軽く手を上げた。

そうして、月のない夜道を帰っていった。


家に戻ったわたしは、1人でぼんやりと考える。


『頼みというのは他でもない。姫狩りの標的であるRISEの姫を…、オレの大事な妹を守ってほしい…!』