籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

もうみんな限界なんだ。

泣き叫びたくなる気持ちもわかる。


「おれが家まで送るよ。さっ、帰ろ」


雅人くんはこの場の空気から逃げるように、わたしを外へと連れ出した。



「送ってくれてありがとう」

「お礼なんていらないよ。これくらい当然のことだから」


雅人くんは、かわりに持ってくれていたわたしのバッグを肩から下ろす。


「明日も家からは出ないほうがいい。壮馬さんのことも心配だろうけど、おれたちも交代で様子を見にいくから」

「…うん、ありがとう」


雅人くんから手渡されたバッグを受け取り、持ち手をぎゅっと握りしめた。


「みんながああなっちゃったのって…、やっぱりわたしが原因だよね」

「…え?」

「わたしさえいなければ――」

「そんなに自分を責めないで。壮馬さんも言ってただろ?」