そして、黙ってうつむく。


「お兄ちゃん…?」


なにも語らずとも、その態度がわたしにはすべてを物語っているように見えた。


「やっぱり…なにか知ってるんだよね!?」

「それは…」

「教えて、お兄ちゃん!わたし、すべてを知りたいの…!」


懇願するように、まっすぐな視線をお兄ちゃんに向ける。

すると、お兄ちゃんは切なげに少しだけ頬をゆるめた。


「…そうだな。美鳥がそこまでたどりついているのなら…」


そうつぶやくと、わたしの瞳を捉えるお兄ちゃん。


「あいつにはずっと口止めされていたけど…、とっくに時効だとオレは思ってる。だから、オレが知っていること、すべて話すよ」



そうして、お兄ちゃんはようやく重い口を開いた。


わたしの中の、空白の時間の出来事を――。