籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

わたしが大きく目を見開けると、視界いっぱいに映ったのは目をつむる玲の顔。


そう。

玲がわたしにキスをしていた。


「…玲、どうして――」

「上書き」

「え…?」

「お前が前に言ったんだろ。『上書きして』って」


その言葉は、前にわたしが無理やり十座にキスされたとき――。


『だが…俺がもう少し早く割って入っていれば、お前が十座にキスされることも――』

『だったら、玲が上書きして…?』


わたしがそうお願いすると、玲がキスを落としてくれた。

まるで、十座とのキスをかき消してくれるかのように。


そうして、わたしたちは思いのままに夜をともにした。


だけど、玲とのキスは…あれきり。

玲との距離ももとに戻ってしまったような気がしていたけど――。


「俺だって…目の前であんなところ見せつけられたら、上書きしたくなるに決まってる」