籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

心配かけさせないで――。


「ただ今後、意識が戻ることはないかもしれません」


……え…?


あまりにも衝撃的なひと言に、わたしはとっさに反応できなかった。


「…えっと、先生。それは…どういう――」

「ひとまず危機は脱し、今は落ち着いています。しかし、お兄さんの意識が回復する見込みはほぼありません」


すぐには理解できなかった。


だって、今日の夜中まで普通に話せていたお兄ちゃんが――。

もう目を覚まさないだなんて。


「…ねぇ、お兄ちゃん。起きてよ」


ベッドに横たわるお兄ちゃんに語りかけるも、返事が返ってくることはなかった。


しばらく、お兄ちゃんのそばに寄り添った。

話しかけたり、手を握ったりしたけれど当然無反応。


離れるのがいやで、本当はもっといっしょにいたかったけど、残念ながら面会時間の終了時刻が近づいていた。