籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

「そういえば…、薬を塗ってくれるんだったよね」


さっき手当てしてくれたときに、薬もいっしょに塗ってもらっていた。

まだ他に塗り薬があったのだろうか。


そう思いながら、わたしは包帯の結び目に手を伸ばす。

すると、その手を玲が握った。


「あれは…、嘘だ」

「…嘘?」


嘘って、どうして玲がそんなことを――。


玲は、ソファに座るわたしの前に跪くようにしてしゃがみ込む。


「本当は…お前が十座になにかされる前に、あの場から連れ出したかった」

「え…?」

「でも…ひと足遅かった。…すまない」


そう言って、唇を噛みながらわたしに向かって頭を下げる玲。


わたしにはわからない。

どうして玲がそんな顔をするのか。


だって、わたしは十座の妃候補。

十座と妃候補の仲を取り持つためにわたしの監視をするのも、世話役である玲の仕事じゃないの…?