「二度とあんなことが起きねぇようにするには、平等に妃候補の相手をしてやる必要があるってことか」


チラリとわたしに目を向ける十座。

その視線は、なにか悪いことが起こる前触れな予感がする。


「…びょ、平等というと…?」

「普段から美鳥にもかまってやれば、茉莉花が今さら嫉妬することもなかっただろう」


顔を近づけてくる十座。

わたしはとっさに身を引いた。


だけど、力強く手首を握られる。

そこは、包帯を巻いているやけどを負った箇所。


痛みで、わたしは顔をしかめた。


「どこへ行くつもりだ?美鳥」


わたしが逃げられないように、十座はわざと手首を強く握る。


「お前がツンケンしていたのも、愛情の裏返しだったんだな」

「な、なに言って――」

「お前も茉莉花に嫉妬してたんだろ?茉莉花がオレを独占するから」