十座と2人きりで、中でなにをしていたのかは知らない。

…いや、知りたくもない。


茉莉花さんがいる限り、十座の部屋はわたしには無縁の場所だと思っていた。

それに、もし入ることがあるのならば覚悟をして行かなければならないと。


それが――、ついに…部屋に呼び出し。


伝言にきたメンバーは、それだけ言うと部屋から出ていった。


わたしはソファに座り込んだまま、窓際で突っ立っている玲に目を移す。


「玲…」


そうつぶやいたとたん、押さえていた感情が大粒の涙となってあふれ出した。


なにをされるかわからない恐怖。

そうなってしまったあと、今のように自分を保てるのかという不安。


――逃げ出したい。


そんなことできないとわかっているけど、今までで一番そう強く思った。