籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

茉莉花さんは唇を噛む。


もともとは、嫉妬心からきたわたしに対する嫌がらせ。

わたしをひっぱたいたり、枕元にカミソリを隠す程度で終わっていたらよかったものの――。


十座に悪事を知られ、完全に見放されてしまった以上、茉莉花さんがどれだけ言い訳しようとどれほど懇願しようと、十座にはなにも通用しない。


茉莉花さんはようやく、自分が犯した事の重大さを理解したのだろう。

力なく、その場に崩れ落ちた。


「懸命な判断だな。それでもするとか言い出したらどうしようかと思ったぜ。熱湯がかかってやけどした顔のお前なんて、そばに置く価値もねぇからな」


そう言って、十座は不敵な笑みを浮かべる。


「自慢のその顔だけでも守れてよかったじゃねぇか。じゃあな、“元”妃候補No.1さん」


背中を向けて手を振る十座さんを、茉莉花さんは悔し涙を流しながらずっと見つめていた。