「ありがとうございます」
わたしは茉莉花さんに頭を下げた。
ところが、茉莉花さんはなかなか戻ってはこなかった。
タオルなんて、すぐに持ってこれそうなものだけど…。
そう思いながら、わたしは小さなくしゃみをした。
夏場とはいえ、体が雨でぬれたせいで寒くなってきた。
わたしがカタカタと体を震わせていると、ようやく玄関の扉が開いた。
「遅くなってごめんなさいね」
茉莉花さんが戻ってきてくれた。
しかし、その手にはタオルはなかった。
「あ…あの、タオルは…」
「タオルはまたあとで。それよりも、体冷えちゃったんじゃない?温めてあげようと思って」
「温める…?」
わたしが不思議に思っていると、茉莉花さんの手にポットが握られているのが見えた。
――まさかっ。



