籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

十座の気まぐれでわたしと十座が接する機会が増えたけど、べつに茉莉花さんが思っているような仲では決してない。

それなのに、茉莉花さんはわたしと十座の仲を疑っていた。


茉莉花さんはわたしがだれにも言わないことをいいことに、RULERのメンバーたちには気づかれない程度に嫌がらせを続けた。


そんな中、わたしの異変に気づいた人物が――1人だけいた。


「…どうしたんだ?それ」


部屋で勉強していたわたしの後ろに立ち、見下ろすようにしてのぞき込んできたのは、玲。

玲は、絆創膏の貼られたわたしの指先を見つめている。


「ああ…、これね。ちょっと切っちゃって…、カミ――」

「…カミ?」

「そう、…“紙”で」


そう言って、わたしは玲から顔を背けるようにしてうつむく。


玲が事務的なこと以外で話しかけてきてくれたのは…久々だったから。