籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

とっさに手すりにつかまってなんとか踏み留まり、すり傷で済んだからよかったものの、下手したら階段から転げ落ちていたかもしれない。


それにこの前は、ベッドへ入ろうと枕元に手をついたとき、指先に鋭い痛みが走った。

慌てて手を引っ込めて見てみると、人さし指から血が流れていた。


確かめると、枕の下になぜかカミソリが挟まっていた。

身に覚えのないものだったし、そもそもこんなところにケースから取り出して刃がむき出しになっているカミソリなんて置くはずもない。


つまり、だれかがわたしの部屋へ勝手に入って、枕の下にカミソリを置いたのだ。


だれがこのようなことをしたのかはわからないけど、心当たりは1人しかいない。

かと言って、どうすることもできない。


茉莉花さんに仕返ししてやろうなんてことは考えていないし、きっとこれはわたしに対するただの嫉妬。