籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

そんな声が聞こえ、寮にいた数少ないRULERのメンバーたちがみんな玄関のほうへと駆けていく。


「…ねぇ!どうかしたの?」


わたしは、その中の1人を呼び止めた。


「みんな、なにをそんなに慌ててるの?」

「もうすぐ、十座さまが戻られるんです…!だから、そのお迎えにっ」

「…十座が!?」


この数日間は玲の看病のことで頭がいっぱいだった。

だから…忘れていた、十座のことを。


「玲には…?もう知らせたの?」

「もちろんです!玲さんには一番に知らせています!玲さんならすでに向かわれています」


まだ完全に治っていないというのに、あの体調で動きまわるなんてっ…。


玲のことが気になって、わたしも玄関へと急いだ。


「…玲!」


と叫んだけれど、ちょうどそのとき寮の扉が開いた。