籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

体温を測ったら、37度9分だった。

ようやく37度台にまで下がってきた。


痙攣も治まって、顔色もずいぶんとよくなっている。


「俺ならもう大丈夫だ。昨日は寝てないんだろ?早く自分の部屋で休め」

「…でもっ」

「お前のおかげでだいぶよくなったから」


わたしを見つめる玲の瞳は、昨日までの虚ろな様子とは違って生気がみなぎっている。

まだ本調子ではないけれど、良好にはなってきたようだ。


「わかった。じゃあ、わたしは戻るね」


そう言って立ち上がり、わたしは部屋のドアノブに手をかけた。

――そのとき。


「それと…」


玲がぽつりとつぶやいた。


「昨日は、…悪かった。高熱が続いて、どうかしてたみたいだ…」


キョトンとして、わたしは振り返る。


どうして謝る必要があるの?