籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

「…ごめんなさい。心配だったから、どうしてもそばにいたくて…」

「…ったく。お前が倒れたらどうするんだよ」


玲は呆れたようにため息をつく。


「それよりも玲、なにかほしいもの…ある?」

「…そうだな。喉が渇いたから、水が飲みたい」


そう言った玲に、わたしはペットボトルのミネラルウォーターを手渡した。

それを受け取る玲と手と手が重なって、はっとして玲と顔を見合わせる。


その瞬間、夜中の出来事が鮮明に思い出された。


『飲ませてくれるんだろ…?美鳥が』

『…もっと、もっと…ほしい』


そういえば…昨日。

わたし、…玲とあんなことを。


「…えっと、…その……水は…」

「大丈夫。自分で飲める」


玲は自分でキャップを開けると、口をつけて飲みだした。

昨日は、キャップを開けることすらできなかったのに。