籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

「わ…、悪かった…」

「ううん…、いいの。少しびっくりしただけで…」


わたしはうつむきながら、ミネラルウォーターの入ったペットボトルをサイドテーブルに置く。

なぜか、体は熱いまま。


「き、きっと…熱でどうかしちゃっただけだよね」


じゃなきゃ、玲が突然あんな行動を起こすはずがない。


「本当にすまなかった…」

「謝るのはもういいから、玲は安心して寝て。今晩は、わたしがついてるから」

「なに言ってんだよ…。幹部の部屋に、一晩中妃候補がいるなんて――」


と言いかけた玲だけど、蓄積していた疲労のせいか気を失うようにして枕に倒れると、そのまま眠ってしまった。


そばで玲の寝顔を見つめる。


『…もっと、もっと…ほしい』


さっきのことを思い出すと、また顔が熱くなる。


あのときの玲は、…玲じゃなかった。