籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

「玲…、食欲はあるの?」

「…まあ、今は。でももう手が使えねぇから、またあとで食べることにする」


玲は、わたしに笑ってみせる。

つらいのを我慢して。


せっかく少しは食欲があるというのに、自分で食べることができないもどかしさ。

今の玲にとっては、食べ物を口へ運ぶという動作すらも困難だった。


「れ…玲、わたしが…食べさせようか?」


わたしが声を絞るようにしてそう言うと、キョトンとした玲の顔。

しかし、すぐにクスッと笑った。


「顔、赤いぞ」

「…えっ!?」


慌てて頬に手をやる。

すると、自分でもわかるくらい熱かった。


どうやらわたしは、『食べさせようか?』と自分で言っておきながら照れてしまっていたようだ。


「ごんめな、気遣わせて」

「そ…そんなこと…」