籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

わたしの問いに、玲がうなずく。


「気にしないで。お兄ちゃんに会えない日は、病院に電話して容態を確認するようにしたの。さっきもかけたら、変わりないって教えてもらったよ」

「そうか。こんなの…すぐに治すから、来週の見舞いは必ず行こう」

「うん、ありがとう」


玲こそ、今はわたしやお兄ちゃんのことよりも、自分の体の心配をしてほしいのに。


そんなことを考えながら玲の横顔を見つめていると、玲がおかゆを食べる手を止めた。


「ごちそうさま…」

「もういいの?…ごめん、口に合わなかった?」

「いや、そうじゃない。うまかった。でも…」


そう言って、玲はレンゲを持つ手に視線を移す。

その手は、小刻みにプルプルと震えていた。


「…もう力が入らねぇから」


おかゆも食べれて、少しずつだけど体力が戻ってきたのかなと思ったけど、あの薬は未だに玲の体の自由を奪っていた。