籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

その音に、玲が目を覚ます。


「ごめんっ、…起こしちゃったよね」

「いや、かまわない」


玲はゆっくりと体を起こす。


「玲、朝からなにも食べてないでしょ…?ちょうどお昼だし、少しでも食べれたらと思っておかゆを作ってきたんだけど」

「…わりぃ。助かる」


まだ熱は高そうで、玲はぼうっとしている。


わたしはおかゆを取り皿に取り、玲に渡す。


「熱いから気をつけてね」


痺れる手でレンゲを持つ玲。

そして、小さく開けた口へと運ぶ。


「うん、うまい」

「…ほんと?」

「ああ。やさしい味がする」


少しだけ、玲の頬がゆるんだ。

その表情に、ほっと胸をなでおろす。


「なんか…悪いな。俺なんかよりも、お前にはずっとそばで看病したい人がいるっていうのに」

「それって、…お兄ちゃんのこと?」