籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

「『姫狩り』は、RULER総長の道楽だ。他の暴走族とやり合うことでは飽き足らず、負けた族の姫をかっ攫っていくという悪趣味な遊びを始めたんだ」

「じゃあ…。もしかして、今回RISEが襲われたのは――」


わたしはごくりとつばを飲む。


「ああ。やつらの目的は、美鳥ちゃんを奪うこと」


胸を固いなにかで殴られたかのように、わたしの中に衝撃が走る。


「ここに姫はいないって言っても、あいつら聞く耳持ってなくて…。容赦なく攻め込んできて、壮馬さんが1人で何人もの相手をしてくれたんだけど…こんなことに」


つまり、お兄ちゃんがこんな目にあって、RISEのメンバーにも甚大な被害が及んだのは――。


「…わたしの……せい…」


ぽろりとわたしの頬に涙が伝った。


お兄ちゃんがベッドに横たわる姿を見ても、どこか現実味がなくて不思議と涙は出なかった。