籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

玲の前だから。


「…そう」


それだけ言うと、わたしは玲から顔を背けた。


「それよりも、…玲は?大丈夫だったの?」

「…俺?」

「わたしが抜け出したのは自分のせいだって、十座に言ってたじゃない。あれから、本当に十座にはなにもされてないの?」

「俺は、あのとおりお咎めなしだ」

「そっか…。それならよかった」


もう…わたしのせいでだれかが傷つくのは見たくない。

それは、敵である玲でも同じこと。


「もしかして、学校へ行くつもりだったのか…?」


そんな声が聞こえて顔を向けると、神妙な面持ちの玲が制服を着たわたしに目を向けていた。


「あ…、うん。そのつもり…だったんだけど、やっぱり気分が乗らなくて。今日はサボっちゃおうかな」


そう言って、舌を出して笑ってみせる。