籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

それを握って取り出すと、わたしの手の中にあったのは…小さな小瓶。

瓶の中には透明な液体が入っている。


見覚えがあるこれは――。


『ボクも詳しくはわかんないですけど、簡単に言うなら“ちょっとアヤシイ薬”…ですかね?』


…そうだ。

裕一くんが持っていた、あの薬だ。


でも、あのときは突き返したのに…どうして。


思い返してみると、あのとき玲に出ていくように促された裕一くんは――。


『じゃあね、美鳥サンっ』


なぜかわたしのほうへまわり込んできて、耳元でそうつぶやいた。


おそらく、あのときポケットに入れられたに違いない。


たしか、飲めばたちまち体が痺れ、力が入らなくなってしまう毒薬だと。

でも裕一くん自身もその効果はわからず、そもそも本物の毒薬かどうかすら不明と話していた。