籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

十座に声をかけられるたび、怯えて逃げ出したくなる気持ちを奮い立たせたことが何度あっただろうか。


…だけど、もう限界。


不安をせき止めていた心のダムが崩壊したとたん、これまで押さえ込んできたあらゆる感情が一気にあふれ出した。


周りは敵。

わたしの気持ちをわかってくれる人なんて、どこにもいない。


わたしはただただ、声を殺して泣くしかなかった。

敵に弱った姿は見せたくないから。



泣いて、泣いて、思いきり泣いて。

泣き疲れてわたしは、ようやく涙が枯れた。


ベッドの上で、ぼんやりと天井を見上げる。

そこで徐ろに寝返りを打ったとき、腰の辺りに妙な違和感を感じた。


見ると、ブレザーのポケットが少し膨らんでいた。

ポケットに手を入れてみると、冷たくて硬いなにかに触れる。