籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

「え…」

「お前の兄貴、眠ったまま動けないそうじゃねぇか。その兄貴の腕に刺さってる点滴に、ちょこっと変な薬でも入れてやったら…」


不気味なくらいニタリとして、歯を見せて微笑む十座。

その瞬間、わたしの背筋が凍った。


「…ま、待って……」

「さぁて、そうなったら兄貴はどうなるだろうな?実験してみようか?」

「いやっ…、やめて…!それだけは…!!」


わたしは十座の腕にすがりつく。

そんなわたしを満足そうに見下ろす十座。


「…お兄ちゃんにはなにもしないで!わたしの部屋に鍵をかけたっていい!だから、RISEにも――」

「もう遅い。それに、今さら指示を取り下げるつもりもない。せいぜい、自分の犯した過ちを反省するんだな」


わたしをあざ笑う十座。

その笑い声が耳障りで、わたしは耳を塞ぎながら玉座の間から飛び出した。