籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

そんな顔が横目に入り、わたしは十座を睨みつけた。


お兄ちゃんがだれのせいでどんな状況に陥っているのかは十座が一番わかっているというのに、こうしてあえて煽ってくる。

反抗したくてもできずにぐっとこらえるわたしを見て、満足そうに微笑む十座。


しかし、その十座の顔から一瞬表情が消える。

かと思ったら、ぐわっと目を見開けてわたしの顔をのぞき込んだ。


「なんだ…その傷は!?」


両手でわたしの両頬を抱えるようにしてつかみ、自分のほうへと引き寄せる。

十座のたばこ臭い吐息がかかり、わたしは反射的に顔をしかめる。


「な、なに…?」

「それはこっちが聞きてぇよ!」


わたしに怒鳴った十座は、わたしの顔にかかっていた横髪を太い指で払いのける。


そのとき、初めて気がついた。

わたしの右頬の髪の生え際付近に、擦り傷ができていることに。