籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜

指紋をつけたら怒られそうなくらい、美しい黒光りを放つバイクだった。


「行くぞ」

「う…、うん」


玲がバイクのエンジンをかける。

しかしすぐには発進せず、顔しかめた玲が後ろに乗るわたしのほうを振り返る。


「なに…?」

「なにじゃねぇよ。ちゃんとつかまれ」

「つかまれって言われても…」

「裕一のバイクには乗ったことあるんだろ?だったら、乗り方くらい知ってるよな?」


玲は、自分の体につかまるよう催促してくる。


「…でも」


裕一くんにはできるけど、…玲は。


わたしがためらっていると、玲が重いため息をつく。


「振り落とされても知らねぇぞ。いいから、俺の言うとおりにしろ」


そう言って玲がわたしの腕をつかむと、そのまま自分の腰へあてがった。

突然腕を引っ張られたものだから、わたしの頬が玲の背中にぺたりとくっつく。