「そうなんですか?」
「ええ。男の人が多いからすぐ無くなっちゃうの」
そっか……。
あたしは数日前の記憶を辿る。
「遅く行ったらほとんど無くなってるから、食べるんだったらわりと早く行ったほうがいい」って、神楽さん言ってたっけ。
だったら、
「いっぱい炊きますね!」
少しでも多くの人が食べれるように頑張ろう!
腕を捲って、あたしはグッと力持ちポーズを取る。
「やる気じゃん」
不意に聞こえてきた声にドキッとした。
「か、神楽さんっ……!」
台所の出入り口のところ。
そこに神楽さんがいたんだ。
神楽さんは台所には入らず、そのままの位置で睦美さんに挨拶をしていた。
そして睦美さんは、ふふっと冗談っぽく笑った。
「羽瑠ちゃんの様子でも見に来たの?」
「まぁ、そんなところです」