舎弟の紹介は朝食と共に行われることになった。

「人数が多いから今回は幹部だけ紹介するね」って言われたけど、違いがよく分からないから紅くんにお任せした。


 紅くんに手を引かれ茶の間に行くと、既に幹部達は来ていて「若、お嬢、おはようございます!!!」と野太い声で挨拶しながら一斉に頭を下げられた。

 紅くんが慣れた様子で「おはよう。顔上げていいよ」と言うと、これまた一斉に頭を上げて脚の短い長机の左右にわかれて座った。

 揃いすぎてザッて音がした気がする。

 みんな朝からきっちりスーツを着込んでいるし思っていたよりもガタイが良くていかつい。

 一応ヤバめの人がでてくる映画とかニュースとかを観て耐性つけてきたはずなのに全然役に立たなかった。

 思わず紅くんの手を強く握り返すと「大丈夫だよ」と耳打ちされ、紅くんに促されるまま上席に腰を下ろした。

 私の存在が気になるらしく、穴があきそうなほど沢山の視線を感じる。

 それを紅くんが手で制した。



「何となく察してるだろうけど、今日お前らに集まってもらったのは改めて俺の婚約者を紹介するためだよ」



『婚約者』という言葉に心臓がはねた。