紅くんはしゃがみこんで私の手をとった。



「・・・家に来る?」

「行く!!」



 力いっぱい手を握り返すと、紅くんは「そんなに強く握らなくても離さないよ」と言って笑った。

 紅くんは笑うと年相応に見える。

 普段の大人の王子様みたいな雰囲気も好きだけど、ただの男の子みたいな雰囲気も好き。

 胸がキュンってするの。

 紅くんと私は手を繋いだまま歩き始めた。

 小学二年生の春、私はまた、独りぼっちじゃなくなった。

 他でもない、紅くんのおかげで。