紅くんの力になりたくてぎゅうっと抱きしめた。私は紅くんにこうされると元気になる。



「いけないことなのに・・・」



 ダメだと言いながら私を抱きしめ返してくれた。

 紅くんったら言っていることとやっていることがバラバラだ。

 私の肩に顔をうずくめたまま動かなくなってしまった。




 時を忘れお互いの存在を確かめた後、紅くんがぽつりと呟いた。



「茜、今日はもう暗いから泊まっていきな」

「うん。ありがとう紅くん」



 紅くんに抱き上げられながら敷地を入った。

 ようやく家に帰れたのだと、安堵感が私を満たした。