16歳の誕生日の朝、紅くんがいなくてがっかりした。

 仕方のないことだと分かっていたけど、あの頃の私は紅くんが迎えに来てくれることだけを希望に生きていたから、どうしても悲しかった。


 17歳の誕生日は時峯家本邸で紅くんと過ごした。

 鴾が作ったケーキを食べたり紅くんが持ちこんだゲームしたり映画を観ながらピザを食べたりしてのんびり過ごした。

 本当は2人で出かけたかったけど、紅くんと一緒にいられるだけでも充分幸せだった。



 そして迎えた18歳の誕生日。



「あ、起きた?」

「紅くん・・・?」



 私は紅くんの腕の中で目を覚ました。

 目をぱちぱちさせていると、頬でチュッとリップ音が鳴った。



「おはよう」

「おはよぉ・・・。ここは、お家?」



 物がほとんどなく、白を基調としたお部屋。

 シトラスの香りがするふかふかのベッド。

 1年ぶりだからって間違えるわけない。