今日はその中にモヤモヤが隠れていた。



「どうしたの?」

「茜が無事でよかったって思う反面、鈴井真那と親しそうに話すのが嫌だったなぁ・・・って」

「やきもち?」

「うん」

「紅くん可愛い」



 素直に『うん』って頷くところが可愛さを増長させている。

 ふと視線を下げると、首筋に残っていた朝露のような汗が太陽に照らされ光るのが見えた。

 ポケットに入れていたハンカチを取り出し、それを拭う。



「そのハンカチどうしたの?」

「天ちゃんとショッピングモールに行った時に見つけて、紅くんにあげようと思って持ってきたの」

「ありがとう、大事にする」



 ハンカチごと私の右手を握った紅くんが、反対の手を見て固まった。

 目がスっと細められる。



「指輪、なんで外してるの?」

「日暮千歳に盗られそうだったなら。・・・また紅くんがはめてくれる?」