月ノ蝶、赤縄を結ぶ


 こんなにあっさり決まるの・・・?

 ドクン、ドクンと心臓が嫌にはねる。

 さっきまで孫娘が大切かのように振舞っていたのに、大事なことは一切何も聞かずに決めるんだ・・・?

 このままじゃダメだ。

 時峯藤治の手を握り、顔をこっちに向けさせた。



「私は反対です」

「どうしたのじゃ茜。鈴井真那くんが気に入らないのかい?」

「はい」



 肯定すると鈴井真那がたじろぐのが分かった。



「実は私には既に婚約者がいるんです」



 何を言い出すのだと、反論に出ようとした日暮千歳を時峯藤治が手で制した。



「何?それは誰じゃ」

「月詠紅くんです」

「月詠じゃと?ならん!あんな半端者を大切な孫の婿にするわけがじゃろう」



 紅くんの名前を出した途端、時峯藤治の表情が鋭くなった。

 ここで怯んじゃいけない。