月ノ蝶、赤縄を結ぶ


 空では東の瞑色が西の黄昏色を侵食している。

 綺麗なグラデーションだなぁとぼんやり思いながら眺めていると、紅くんに後ろから呼びかけられた。



「茜」

「ん?」



 振り返ると紅くんは立ち止まっていた。

 私もそれに倣い歩くのを辞め、身体を向ける。

 紅くんは優しい笑みを浮かべ、ゆっくりと口を開いた。



「愛してるよ」



 紅くんの口から綴られた言葉が胸にすとんと落ち、波紋のように広がっていく。

 今までは『好き』をたくさん伝えあってきた。

 でも、愛しているなんて言われたことがなかった。

 頭が真っ白になって、そこからじんわりと喜びが込み上げてくる。



「な・・・んで、急に・・・」

「言いたくなったから」



 夏風が吹いて髪が揺れる。