月ノ蝶、赤縄を結ぶ




「茜を"あれ"扱いするのもすっごく気分が悪い」



 (つか)を握る手に力が篭もる。



「だからお前は早死するんだよ」



 鈴井雛菜の最期の言葉は、最早言葉として成立していない悲痛なものだった。





「この話をしたら、茜が余計な罪悪感を抱くと思ったから話したくなったんだ。もし自分が現れなかったらこんなことにはならなかったって・・・」



 あぁ、紅くんはそれを恐れていたのか。



「でも、その気遣いが茜を傷つけたんだよね。ごめんね、茜。・・・でもお願い。俺のこと嫌いにならないで。出会わなきゃよかったなんて、思わないで」



 紅くんは私の存在を留めるように、後ろから抱きしめてきた。

 その力は弱く、私でも難なく振りほどけそうだった。

 私に拒絶されてたら傷つくのに、私が自分の意思で抜け出せるようにしてくれている。