月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 それにもかかわらず、俺にはなんのお咎めもなく何も悪くない茜を処理しようとした。


 こいつの身勝手な行動のせいで、茜が泣いた。

 俺の可愛い可愛い茜が。

 誰よりも幸せになるべきな茜が。

「こわかった」と俺に縋りながら。


 腸が煮えくり返るほどの怒りを覚えたのは初めてだ。

 鈴井雛菜はまだみっともなく言い訳を続ける。



「だって、あれがいなきゃ、紅はわたしのものだった!!!あれがわたしの紅を奪ったから、仕方なか────」

「口には気をつけろよ」



 弾切れした拳銃の代わりに日本刀を抜くと「ひいっ」と悲鳴をあげた。



 小者みたいな声だな。

 茜の子猫のような声とは全然違う。



「何をどう勘違いしたのか知らないけど、俺がお前のものだった瞬間なんてない」



 何をそんなに驚いているんだ。

 当たり前だろ。